忍者ブログ

残業代請求、サービス残業など労務問題に注力する顧問弁護士

Home > > [PR] Home > 残業代の請求2 > 残業代請求

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

残業代請求

今日は、残業手当の請求についての裁判例を紹介しています(つづき)。

一 請求原因1、2の事実は当事者間に争いがない。
二 ところで、割増賃金(残業代)は通常時間の賃金を基礎として計算すべきところ、被告は、本件歩合給に割増賃金(残業代)が含まれている旨抗弁するので、これについて検討する。
 〈証拠〉によれば、被告のタクシー乗務員の賃金はすべて本件歩合給と同様の歩合給とされており、被告は、月間水揚高に所定の賃率(水揚高に対する賃金総額の比率。以下同じ。)を乗じたものがタクシー乗務員に支払う賃金のすべてであるとし、歩合給には各種の割増賃金(残業代)も含まれているとの考えのもとに賃率を決定していたこと、その賃率は、平均的にみて、被告と同規模の同業他社における通常時間の賃金と各種の割増賃金(残業代)とを合わせたものの賃率と大差はないこと、被告のタクシー乗務員の中には、歩合給に各種の割増賃金(残業代)が含まれ、所定外及び深夜労働(残業)をしても歩合給以外の賃金は支払われないということで納得していた者もいたことが認められる。
 しかしながら、証人立石聡男の証言中には、被告の労務管理担当であった同人において、
原告谷、同杉村及び同井上を雇用する際、歩合給に各種の割増賃金(残業代)が含まれていることを説明したところ、同原告らがこれを承諾したかのようにいう部分があるけれども、それ自体にあいまいなところがあるし、原告杉村の本人尋問の結果にも照らして、たやすく措信できず、他に、原告らと被告間に本件歩合給が各種の割増賃金(残業代)を含んだ賃金のすべてである旨の合意があったと認めるに足りる証拠はない(かえって、右の証言及び本人尋問の結果並びに弁論の全趣旨を総合すると、被告側は、原告らを雇用する際、前記認定のとおり、歩合給に各種の割増賃金(残業代)が含まれているとの考えはあったにせよ、原告らに対し、所定労働時間及び賃率は告げたものの、割増賃金(残業代)については特に説明しなかったことが推認できる。)。
 また、仮に、本件歩合給に各種の割増賃金(残業代)が含まれる旨の合意(一律歩合給制)があったとしても、それを有効なものとして是認することはできない。その理由は次のとおりである。
 労働基準法三七条は、法定外労働に対して通常時間の賃金の一定率以上の割増賃金(残業代)を支払うべきことを使用者に義務づけることによって、同法の規定する労働時間制の原則の維持を図るとともに、過重な労働に対する労働者への補償を行おうとする趣旨のものであるから、少なくとも同条所定の最低額の賃金が割増賃金(残業代)として支払われればその趣旨は満たされ、それ以上に、割増賃金(残業代)の計算方法や支払方法を同条の予定としているとおりに履行することまでも義務づけているとはいえない。したがって、本件のような歩合給制の場合に、計算等の便宜上、割増賃金(残業代)の支払方法として、通常時間の賃金と割増賃金(残業代)とを合わせたものを一定の賃率による歩合給とし、これを一律に支払うという形式をとること自体は、歩合給に割増賃金(残業代)が含まれていることが明らかである以上、直ちに同条に違反するものではないと解すべきである。しかしながら、そういう支払方法をとり、歩合給に割増賃金(残業代)が含まれているとしても、同条及び同法施行規則に定める計算方法により算出された現実の法定外労働時間(残業時間)に対応した割増賃金(残業代)の額が右の含まれている割増賃金(残業代)相当額を超えている場合には、その不足分を支給すべきことは当然であるから、右支払方法が適法であるためには、歩合給の中のいくらが割増賃金(残業代)にあたるかをそれ以外の賃金部分と明確に区別することができ、その割増賃金(残業代)相当部分を控除した基礎賃金(これが通常時間の賃金にあたる。)によって計算した割増賃金(残業代)の額と右割増賃金(残業代)相当額とが比較対照できることが必要であるといわなければならず、割増賃金(残業代)の支払方法について、そういう比較対照をすることができないような定め方をした労使間の協約は、結局、割増賃金(残業代)は支払わないということに等しく、同条の趣旨を没却するものとして、違法であり、同法一三条により、無効であるというほかない。しかるところ、被告の主張する一律歩合給制では、その主張自体からして、本件歩合給の中のいくらが割増賃金(残業代)にあたるのかを確定できないというのであるから、仮に、原告らと被告間に一律歩合給制の合意があったとしても、右説示に照らして無効というほかなく、その結果として、本件歩合給に割増賃金(残業代)が含まれているとみることはできないというべきである。
 以上の次第で、いずれにしても被告の抗弁は理由がない。
なお、企業の担当者で、残業代請求についてご相談があれば、顧問弁護士にご確認ください。顧問弁護士を検討中の企業の方は、弁護士によって顧問弁護士料金やサービス内容が異なりますので、よく比較することをお勧めします。そのほか、個人の方で、不当解雇保険会社との交通事故の示談・慰謝料の交渉オフィスや店舗の敷金返却請求(原状回復義務)多重債務(借金)の返済遺言・相続の問題刑事事件などでお困りの方は、弁護士にご相談ください。

PR
コメント

コメントを受けつけておりません。

カレンダー

04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31

フリーエリア

最新CM

最新記事

(12/11)
(11/14)
(11/05)
(09/09)
(09/04)
(08/31)
(08/28)
(08/25)
(08/18)
(08/06)
(08/04)
(07/29)
(07/22)
(07/17)
(07/17)
(07/15)
(07/08)
(07/05)
(03/13)
(03/04)
(03/03)
(03/02)
(03/01)
(02/08)
(12/13)

最新TB

プロフィール

HN:
No Name Ninja
性別:
非公開

バーコード

ブログ内検索

P R