今回は、
残業手当の請求に関する判例を紹介します(つづき)。
三 昭和六一年一二月から昭和六二年二月までの間の原告らの月間水揚高、総労働時間、所定内深夜労働(残業)時間、所定外労働時間及び所定外深夜労働(残業)時間が別紙1ないし5記載のとおりであることは、当事者間に争いがない。そして、弁論の全趣旨によれば、原告らの本件請求期間における勤務実績、すなわち、月間水揚高、総労働時間、所定内深夜労働(残業)時間、所定外労働時間及び所定外深夜労働(残業)時間の金額及び各時間数は、右争いのない勤務実績を下回ることはないと認められ、この認定を左右するに足りる証拠はない。また、労働基準法施行規則一九条一項六号によれば、出来高払制によって定められた賃金については、その賃金算定期間(賃金締切日がある場合には、賃金締切期間)において出来高払制によって計算された賃金の総額を当該賃金算定期間における総労働時間で除した金額に,所定外又は深夜の各労働時間数を乗じた金額が通常時間の賃金の計算額となる。そうすると、被告は、原告らに対し、本件請求期間における所定外労働時間及び所定内深夜労働(残業)時間につき、労働基準法三七条一項により、右計算額の二割五分以上の率で、また、所定外深夜労働(残業)につき、同条項及び同法施行規則二〇条により、右計算額の五割以上の率でそれぞれ計算した割増賃金(残業代)を支払うべきであり、その最低額は、右の各数値からして、別紙1ないし5記載のとおりであると認めることができる。
四 以上によれば、被告は、原告らそれぞれに対し、別紙認容額一覧表の「未払割増賃金(残業代)」欄記載の各割増賃金(残業代)及びこれに対する弁済期の後である昭和六三年一月二二日以降各完済まで民法所定の年五分の割合による遅延損害金を支払う義務があるというべきである。そして、右各割増賃金(残業代)の不払期間、当事者間の交渉の経過、これまでの被告の態度等、本件証拠上認められる諸般の事情を考慮すると、労働基準法一一四条に従い、被告が、原告らそれぞれに対し、右各割増賃金(残業代)と同一額である右表の「附加金」欄記載の各附加金を支払うように命ずるのが相当である。なお、右各附加金については、本判決確定の日の翌日から右同様の遅延損害金が発生するというべきである。
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