このブログでは、企業の顧問弁護士をしている者の立場から、日々接している法律問題のうち、一般的な情報として役に立ちそうなものをメモしています。ジャンルは幅広く扱っていますが、近時、残業代請求の問題などの労務問題が増えているので、そのような傾向を反映した形でのテーマのバラつきはあるかもしれません。また、当ブログにおいて公開する情報は、対価を得ることなくメモ的な走り書きによりできあがっているため、(ある程度気をつけるようにしていますが)不完全な記述や誤植が含まれている可能性があり、また、書いた当時は最新の情報であっても現在では情報として古くなっている可能性もあります。実際に難しい法律問題に直面した場合には、一般的に得られる知識のみに基づいてご自身で判断してしまうのではなく、必ず専門家(顧問弁護士・法律顧問など)に個別にご相談いただくことを強くお勧めします。
今日のテーマは、滅失の事実がないのにされた建物滅失の登記の効力についてです。この点について、最高裁は、以下のとおり判断しました(判決文の引用)。登記された甲建物について、滅失の事実がないのにその旨の登記がされて登記用紙が閉鎖された場合には、甲建物に設定され、その旨の登記を経由していた根抵当権が登記簿上公示されないこととなるから,右滅失の登記は根抵当権に対する妨害となっているといわなければならない。そして、更に右建物につき別の乙建物として表示の登記及び所有権保存登記がされている場合には、直ちに右滅失の登記の抹消登記の申請をしても、その抹消登記によって甲建物の表示の登記及び所有権保存登記が回復すれば、それらの登記と乙建物としてされた表示の登記及び所有権保存登記とが併存することとなっていわゆる二重登記となるため、右の申請は却下されることとなるのであるから、乙建物の表示の登記及び所有権保存登記も、根抵当権に対する妨害となっているということができる。したがって、登記された甲建物について、滅失の事実がないのにその旨の登記がされて登記用紙が閉鎖された結果、甲建物に設定されていた根抵当権設定登記が登記簿上公示されないこととなり、更に右建物につき別の乙建物として表示の登記及び所有権保存登記がされている場合には、根抵当権者は、根抵当権に基づく妨害排除請求として、乙建物の所有名義人に対し、乙建物の表示の登記及び所有権保存登記の抹消登記手続を、甲建物の所有名義人であった者に対し、甲建物の滅失の登記の抹消登記手続をそれぞれ請求することができるものというベきである。
会社の方で、以上の点に不明なことがあれば、顧問弁護士にご相談ください。また、個人の方で、不当解雇や借金問題などの法律問題につき相談したいことがあれば、弁護士にご相談ください。なお、法律というのは絶えず改正が繰り返され、日々新たな裁判例・先例が積み重なっていきます。法の適用・運用のトレンドもその時々によって変わることがあります。そして、事例ごとに考慮しなければならないことが異なるため、一般論だけを押さえても、最善の問題解決に結びつかないことが多々あります(特にブログで紹介することの多い労務問題(残業代請求、サービス残業など)は、これらの傾向が顕著です)。
カレンダー
02 | 2025/03 | 04 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | ||||||
2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 |
9 | 10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 |
16 | 17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 |
23 | 24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 |
30 | 31 |
リンク
カテゴリー
フリーエリア
最新CM
最新記事
最新TB
プロフィール
ブログ内検索
アーカイブ
最古記事
P R